コラム
2021.02.26
現在、世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス。 収束までには、まだまだ時間がかかりそうですね。 おもえば、SARS、MERSとつぎつぎ出現する 新たなウイルスや毎年のインフルエンザに脅かされ続けている私たち。 第2波、第3波をかいくぐっていくには、手洗い、うがいに加え、 もう一度ギアを上げて、防御力を増していく必要がありそうです。 じつはそのカギを握るのが「歯みがき」なんです。 (東京歯科大学名誉教授 奥田克爾 談) 歯周病菌の毒素がウイルスを後押し?! 最近の研究では、歯周病菌の出す毒素がウイルスの細胞への侵入の手引きをするばかりか、ウイルスのパワーを増強することがわかってきています。 ウイルスが口のなかに入ってきても、標的であるノドの粘膜細胞のレセプタ(受容体/入口)が 粘液によって隠されていて、なかなかすぐには見つけられません。 しかし、問題は、冒頭でお話しした歯周病菌です。 お口にプラークがたっぷりあり、歯周病菌が跋扈していると、 歯周病菌の出す毒素が粘液層を溶かして壊します。 するとウイルスの標的である粘膜細胞のレセプターが丸見えになり、吸着が容易になってしまう。 つまり歯周病菌は、ウイルスが素早く体内へ侵入できるように手引きしてしまうのです。 歯周病菌とウイルス感染の関わりは、じつはこれだけではありません。 歯周病菌も出す毒素はウイルスのもつ「細胞の入口を開ける鍵」をパワーアップさせてしまうことも分かっています。 こうした歯周病菌の凶悪さは、インフルエンザウイルスの研究によって暴かれたものです。 コロナウイルスも、細胞のレセプターに吸着し侵入する点で共通することから、 同様に「歯周病菌の手引きを受けている」と見て間違いないでしょう。 お口の中で歯周病菌が増える原因はお手入れ不足です。 歯みがきを怠ってプラークが溜まったり、 歯周病菌の巣になった歯石を放置していると、歯周病が起きてしまいます。 身を守るには、マスクに手洗い、うがい、体調管理と3密を避けること。 これに加え、「ふだんからお口のなかを清潔にして歯周病を予防すること」をおぼえてください!! Question うがいがなぜ歯周予防に効果的なのかよく分かりました。 3密を避け、マスクに手洗い、そしてうがいですね! Anewer ところが問題なのですが最初にお話しした歯周病菌です。 歯周病菌が跋扈しているお口では歯周病の出す毒素が 歯ぐきを腫らすだけでなく、細胞のレセプターを隠している ノドの粘液の層を破壊しレセプターをむき出しにして、 ウイルスの体内への侵入を手助けしてしまうのです。 (歯科情報誌 nico 2121年1月号掲載)